back

浮遊粒子 / フィルターの作用

 

集塵機  環境改善機器
気流にのって動く粒子は、その流れにある障害物に慣性力で衝突する。障害物周辺の気流の変化に、粒子はそのまま直進し障害物に衝突する。衝突には、空気力学的なサイズと、障害物周辺での流速の変化が関係する。サイズが大きいほど、流速の変化が大きいほど、衝突しやすくなる。
慣性衝突や遮断による捕集は10μ以上の粒子に効果的である。
10μ以下では慣性衝突、遮断、静電気による捕集力が低下し、3〜0.3μでは無視されるレベルになる。0.3μ以下の粒子には効果がない。
ブラウン拡散による捕集は、0.3μ以下であり、いずれの作用も及びにくい0.5〜0.1μ付近の粒子は、ひとつの作用を利用した捕集方法では、一般的に効率的な捕集ができない。
湿式スクライバーや電気集塵機では、このレンジの制御に注意が必要である。
布フィルターは複数の作用効果で、このレンジでの捕集率の低下が少ない。
サイクロン方式では一般的に3〜1μ以下から効果が低下する。
 
ブラウン拡散による捕集は、0.3μ以下の粒子に効果があり、0.1〜0.01μの範囲では効率が良い。
気流の中で微粒子は、気体分子と衝突し方向を変える。急速に動く気体分子の運動エネルギーが微粒子に転化され、不規則に向きを変える動きとなる、これをブラウン運動という。
不規則な動きの結果として、フィルター繊維に衝突したとき捕集される。
 
気流のない環境下で、粒子は重力による降下と、空気抵抗のバランスで動く。降下が始まると、すぐに終端速度になって、一定速度で降下する。 
フィルターの「捕集」は、反面で粒子の選別の意味がある。この降下速度の差を利用し粒子の選別が可能となる。  
浮遊粒子状物質(Suspended Particulate Matter、SPM)
大気中に浮遊する粒子状の物質 (浮遊粉じん、エアロゾルなど)のうち粒径が10μ以下のものをいう。SPMは、微小なため大気中 に長時間滞留し、肺や気管などに沈着して高濃度で呼吸器に悪影響を及ぼす。浮遊粒子状物質には、発生源から直接大気中に放出される一次粒子と、硫黄酸化物(SOX)・窒素 酸化物(NOX)などのガス状物質から大気中で粒子状物質に変化する二次生成粒子がある。発生源には、工場などから排出される煤塵やディーゼル車の排出ガスに含まれる粒子状物質などの人為的発生源と、土壌の巻き上げなどの自然発生源がある。
日本では、浮遊粒子状物質について「1時間値の1日平均値が0.10mg/m3であり、かつ、1時間値が0.20mg/m3以下であること」という環境基準を設定し、その達成に向けて工場・事業場 からの煤塵・粉塵や自動車からの粒子状物質等の排出規制を行っている。
エアロゾル(Aerosol)
気体中に浮遊する微小な液体または固体の粒子をエアロゾルという。エアロゾルは生成過程の違いから粉じん(dust)、フューム(fume)、ミスト(mist)、ばいじん (smoke dust) などと呼ばれ、また気象学的には視程や色の違いから、霧(fog)、もや (mist)、煙霧 (haze)、スモッグ(smog)などと呼ばれる。エアロゾル粒子の性状は、粒径や化学組成、形状、光学的・電気的特性など多くの因子によって表され、きわめて複雑である。例えば 「粒径」については、分子やイオンとほぼ等しい0.001μmから花粉のような100μm程度までの広い範囲が対象となる。個数濃度では、清浄空気の10個/cm3、発生源近傍の10E6〜10E10個/cm3、最近の超クリーンルーム では10E-5個/cm3 程度まで要求されるようになっている。
エアロゾル粒子は、重金属粒子やディーゼル黒煙、たばこ煙、アスベスト粒子、放射性粒子など、以前は環境汚染や健康影響問題として議論されてきたが、最近はナノオーダーの超微細粒子がもつ特性を生かし、高機能性材料の開発、効果的な作用をもつ薬剤や農薬の開発などにも大きな関心を集めている。
エアフィルター性能表示
圧力損失
フィルターに空気が通過するとき、空気の流れが妨げられ抵抗が生じる、フィルターをある処理風量で使用したときの空気圧(静圧)の差圧値(低下値)を圧力損失といい、Pa(パスカル)で表示する。 
寿命・粉塵保持容量
フィルターの圧力損失(初期圧力損失)から粉塵が付着し、上昇した圧力損失(最終圧力損失)になるまでの時間が、フィルターの寿命となる。一般的フィルターの最終圧力損失は、初期圧力損失の2〜3倍といわれる。捕集容量を増加させるため、フィルターの構造が工夫され、プリーツ構造はその一例でろ過面積を大きくして捕集容量を増加させることができる。
粉塵捕集率
粉塵捕集率はフィルターを通過する空気中の粉塵の除去率で、フィルターと除去する粉塵の特性が関係する。フィルター用途に応じ、質量法、比色法、DOP法の3方法から捕集率測定が行われる。

Home TOHO SEIKI CO.,LTD.

弊社製品に関連した一般的な技術情報を、社内研修用にまとめたものです。
詳細は関連図書、専門メーカー等でご確認下さい。